ドキュメンタリー映画『Maelstrom マエルストロム』の上映会+哲学対話イベントを、横浜市戸塚区のパフォーミングアーツ&マルチメディアアート空間 MURASAKI PENGUIN PROJECT TOTSUKA(MPP Totsuka) にて、11月17日(日)に開催しました。
本イベントでは、第1部で映画『Maelstrom マエルストロム』の上映、第2部では本作を監督/制作した山岡瑞子監督、子ども達や地域での哲学対話を全国の教育機関や図書館などで実践されている河野哲也氏、自殺対策の一環である「ゲートキーパー養成」に従事され、広く研修や講義活動をされている森本美花氏をファシリテーターにお迎えし、哲学対話を通して上映作品について振り返り、関連のあるトピックについて、来場者それぞれの体験や考えを共有しました。壇上から一方通行的に上映/トークをするのではなく、哲学対話(話し、聴き、より深く考えていく)の時間を持つことが有意義でした。
隈研吾建築設計事務所による木造建築のMPP Totsuka独特の、角を中央に配置した壁面に映し出される映像で、フラットなスクリーンとは異質の臨場感ある映像体験となりました。壁面に写真も掲げさせて頂き、MURASAKI PENGUIN PROJECTの素晴らしい施設の中での思い出深い上映会でした。お手伝いスタッフの皆さま、ご来場下さった皆さま、ありがとうございました。
◾開催日時: 2024年11月17日(日)14時開場 14:30 上映開始
◾ 会場: MURASAKI PENGUIN PROJECT TOTSUKA
神奈川県横浜市戸塚区戸塚町4247-21 (JR・横浜市営地下鉄「戸塚駅」より徒歩約6分)
https://www.mpptotsuka.com/
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◾映画『Maelstromマエルストロム』(2022年/カラー/ HD/日本/79分)
ストーリー:
2002年6月の初め、NYにある美大を卒業し、あと1年間滞在予定だった留学生が銀行に向かう途中、事故に遭う。突然、それまでの日常を失い、それまでの時間が存在しない場に戻った時、何がその人らしさを繋ぎ止めるのかー。突然、事故の当事者になった“私”は、大混乱の中、変わってしまった日常の記録を始める。事故前の自分と繋がり直し、探している場所に辿り着けることを祈りながらー。
■ 監督・撮影・編集・ナレーション:山岡瑞子 ■ 撮影:本田広大・平野浩一・高橋朋子 ■ 音楽:オシダアヤ(2022年 / カラー / HD / 日本 / 79分 / English Subtitled)
◾️ 映画『Maelstromマエルストロム』 公式サイト:https://maelstromfilm.com/
◾️「maelstrom」とは、大渦巻きや大混乱を意味する。この映画は、監督した山岡自身に起きた、逃れられない絶望的な大混乱の渦を見つめた日々の記録を79分にまとめたエッセイ・ドキュメンタリー。2016年から制作を始めた本作は、事故から20年後の2022年に完成。2022年 ピッツバーグ大学の日本ドキュメンタリー映画賞グランプリ、東京ドキュメンタリー映画祭2022、PORT FEMME INTERNATIONAL FILM FESTIVAL 2023、NIPPON CONNECTION 2023、JAPANNUAL2023、前橋映像祭2024 plusなど、6つの国内外の映画祭にて正式出品、2023年度キネマ旬報文化映画部門5位に選出された。
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◾当日スケジュール
14:00 開場
14:30〜15:50 【第1部】 映画『Maelstrom』上映
15:50〜16:00 休憩
16:00〜17:20 【第2部】 哲学対話
17:20〜17:30 まとめ 終了
◾ファシリテーター / プロフィール
山岡 瑞子 | Mizuko YAMAOKA
映画作家/アーティスト。1998年渡米。2002年Pratt Institute(NY)卒業直後、事故に遭い帰国。中途障害者・帰国者の立場からの制作方法を模索する。2016年、バルセロナで初短編ドキュメンタリー制作。BankART AIR 2021への参加を経て、22年初長編ドキュメンタリー映画『Maelstromマエルストロム』完成。ピッツバーグ大学 Japan Documentary Film Award 2022受賞。第23回ニッポン・コネクション他、オーストリア・ウィーンで開催されたJapannual 2023など、国内外の映画祭で上映され、23年12月に横浜で先行上映。第97回キネマ旬報文化映画ベスト・テン第5位選出。2023年度ACYアーティスト・フェロー。
河野 哲也 | Tetsuya KOHNO
立教大学文学部・教授、博士(哲学)慶応義塾大学。日本哲学会事務局長、日本学術会議委員(第26〜27期)哲学委員会委員長。日本哲学思想系諸学会連合事務局長、専門は、現代哲学と倫理学。
現象学的身体論の観点から、心の諸科学の基礎を再構築し、教育学や特別支援教育、福祉のあり方について考察している。近年は、この立場を拡張し、環境問題を扱った哲学や倫理学を展開している。また、哲学対話という方法を用いて、地域創生や環境問題について対話的解決を実践するとともに、子どものための哲学対話を、道徳教育や総合学習に適用し、未就学児から高校生まで対象として、全国の教育機関や図書館などで実践している。
代表著作:『現象学的身体論と特別支援教育』(北大路書房、2015)、『境界の現象学:始原の海から流体の存在論へ』(筑摩選書、2014)、『人は語り続けるとき、考えていない:対話と思考の哲学』(岩波書店、2019)、『じぶんで考え じぶんで話せる:こどもを育てる哲学レッスン・増補版』(河出書房新社、2021)、『間合い:生態学的現象学の探究』(東京大学出版会、2022)、河野哲也・田中彰吾『アフォーダンス』(東京大学出版会、2023)、『アフリカ哲学全史』(ちくま新書、2024)など。
森本 美花 | Mihana MORIMOTO
大阪芸術大学芸術学部卒業後、さまざまなアルバイト、エステシャン、営業職、管理職、人事総務部門を経験。多様な仕事や働き方を経験したことから「楽しく働く人を増やす」仕事がしたいと考え、カウンセラーの資格を所得。カウンセラーとして2009年より活動を開始。現在は主に、働く人のメンタルヘルス、ハラスメント対策、キャリア開発、障害者雇用や定着、企業(特例子会社含む)や個人のカウンセリング、コンサルティング、研修等、産業保健や人事労務領域を支援しているほか、都内心療内科クリニックで臨床場面のカウンセリングを実施。これまでのカウンセリング実績は延べ5,000名を超える。また、自殺対策にも力を入れており、2011年より自殺対策の一環である「ゲートキーパー養成」に従事。市民団体向け、自治体、企業、教育現場への研修や講演等も行っている。
保有資格:精神保健福祉士、公認心理師、キャリアコンサルタント(キャリアコンサルティング技能士2級)、メンタルヘルス法務主任者、ハラスメント防止コンサルタント、ジョブコーチ など。
所属団体:特定非営利活動法人 ゲートキーパーTONARINO 理事長
寄稿:うつ患者の家族向けコミュニティサイト エンカレッジ | インタビュー掲載 家族に「死にたい」と打ち明けられたら。希死・自殺念慮との向き合い方、メンタルヘルスマガジン「こころの元気+2021年11月号」|寄稿 〜ちょっと知りたい!ゲートキーパー
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主催:maelstromfilm事務局
助成:アーツコミッション・ヨコハマ